オムニチャネル(Omnichannel)とは、企業と顧客との間の様々な接点(チャネル)を統合し、総合的に顧客にアプローチする販売戦略のことです。企業の持つチャネルには、ホームページやECサイト、SNS、メールといったオンラインの接点と、実店舗やイベント会場などのオフラインの接点があります。
欲しい商品の在庫が店頭にない場合にECサイトから購入できたり、注文した商品の受け取り場所を指定できたりするなど、企業や扱う商材によってさまざまなサービスが提供されています。
▪️オムニチャネルの重要性
オムニチャネルが注目されるようになった背景には、スマートフォンやSNSの普及によって、顧客行動が多様化したことがあります。顧客は場所や時間に縛られることなく情報収集がしやすくなり、より自由なタイミングで購買行動を起こせるようになりました。
そのため、顧客に購買行動を促すためには企業側が常に複数のチャネルを用意しておく必要があり、さらにロイヤリティの向上を図るためには、各チャネルを連携・統合し、シームレスな(=垣根のない、一体的な)顧客体験を提供することが重要とされています。
▪️マルチチャネル/クロスチャネル/O2Oとの違い
オムニチャネルと似た言葉には「マルチチャネル」や「クロスチャネル」があり、混同されることもあります。また、顧客との接点に関する用語には「O2O(オー・ツー・オー)」という言葉もあります。ここで、それぞれの意味を見てみましょう。
▪️マルチチャネル
マルチチャネルとは、顧客との接点となるチャネルの数を増やして多角的に展開する販売戦略を指します。マルチチャネルの段階では各チャネルは独立している状態であり、それぞれのチャネルに最適な施策を行って売り上げ向上などを図る手法です。
例:実店舗での販売だけでなくECサイトを開設する、SNSで店舗や商品の情報発信を行う、など
▪️クロスチャネル
マルチチャネルによって増えた顧客との接点を連携させることがクロスチャネルになります。全てのチャネルで得られたデータを統合し、総合的なアプローチを行うことがオムニチャネルなので、オムニチャネルはクロスチャネルの発展形と言えます。
例:実店舗とECサイトの在庫データを統合管理する、オンラインで注文した商品を実店舗で受け取れるようにする、など
▪️O2O
O2Oは、「オンラインの接点からオフラインの接点」へ送客するための手法です。クロスチャネルの一種と言えますが、オンラインからオフラインへ誘導する手法を指し、使用される場面が異なる用語です。「On2Off」と表現されることもあります。
例:SNSを活用したキャンペーンで実店舗への誘導を行う、実店舗で使えるクーポンをオンラインで発行する、など
▪️オムニチャネル化のメリットと考慮すべき点
オムニチャネル化することによってサービスの利便性を高めることで、企業やブランドへのロイヤリティ(=信頼、愛着)の向上が期待できる他、顧客データを正確に把握できることで、機会損失を減らし売り上げ向上などにつなげることができます。
ただし、オムニチャネル化を行う際には考慮しなくてはならない点もあります。
まず、オムニチャネル化をしたからといって、すぐに売り上げアップなどの効果が出るわけではないという点です。オムニチャネル化の大きな目的はサービスを利用する顧客の満足度を高め、企業やブランドのロイヤリティを向上させることにあり、明確な成果につなげるためには得られたデータの分析と地道なサービス改善が必要となります。
また、オムニチャネル化は複数のチャネルを持っていることが前提となるため、初期投資にはそれなりのコストがかかることになります。新しいシステムを開発したり、統合したデータを管理するためのコストがかかることも考慮する必要があるでしょう。
とはいえ、多くの企業が顧客に対して複数のチャネルを持っている現代において、オムニチャネル化は非常に重要な販売戦略とされています。
前述した通り、スマホやSNSの普及によって、消費者がより多くの情報に気軽にアクセスできるようになったことで、企業ごとのサービスの違いを比較することも容易になりました。
常に多くの選択肢に囲まれて生活している現代の消費者に選ばれていくためには、よりシームレスで利便性の高い顧客体験を実現することが求められているといえるでしょう。
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