目次
◾️市場規模が大きいデジタル教育コンテンツ

近年、デジタル教育コンテンツの市場規模が拡大しています。
2019年に開始されたGIGAスクール構想は、新型コロナウイルスの影響によって前倒しされ、2021年度3月期の時点で全自治体のうち96.1%が整備済みとなっています。これに伴い、経済産業省はEdTech(教育 “Education” × テクノロジー “Technology”)導入補助金を交付し、国をあげて教育現場のデジタル化(=ICT教育)を進めています。
2022年度には市場規模が635億円にのぼると予測されているデジタル教育コンテンツ(上図)。ここでは、教育現場におけるデジタル化の導入事例や課題についてご紹介します。
◾️デジタル教育の活用事例

◾️事例1.品川女子学院
中高一貫の「品川女子学院」では、ノートや筆記用具とともに、各々がiPadを文房具として扱っています。たとえば数学の授業では、生徒たちがグループごとに協力しあって問題を解いていきます。iPadを使いながら画面を見せ合ったり情報の送受信を通してコミュニケーションを取り、学びを楽しむというものです。黒板を使った通常の授業と並行しながらこういったデジタル教育を行い、思考力や判断力を養うと同時に「協調性」を育んでいます。
◾️事例2.佐鳴予備校
1999年から動画教材による授業を行ってきた学習塾「佐鳴予備校」では、デシタル教材を自主開発しています。たとえば、集中力が続かない生徒のために60分の動画コンテンツを10分〜15分に分割し、合間に演習問題を組み込むといった独自のデジタル教材を開発しました。また、採点を自動化して講師の負担軽減・業務効率化を図るなど、デジタル化によって生産性の高い教育現場を実現しています。
◾️事例3.フィンランドのICT教育
フィンランドのICT教育は日本の10年先をいっていると言われており、多くの学校で一人一台タブレットを導入し、個々のレベルに合わせた授業を行っています。たとえば算数の授業では、
- 導入(10分):タブレットを通して新たに学習する内容の説明【一斉指導】
- 演習(15分):タブレットによる新たな学習内容の演習【個別学習】
- 自由(20分):タブレットでの復習、発展問題【個別の習熟度に合わせた学習】
このように、生徒たちはタブレットを活用し、学習用のアプリを通して苦手分野を勉強したり得意分野の発展問題に取り組みます。また、授業にゲームを導入し、教師がオンライン上で生徒にクイズを出したりして学習の活性化を図っています。
◾️デジタル教育ではモチベーションを保つのが難しい?

このように、デジタル化により効果を発揮している教育現場がある一方、課題もあります。
たとえば、ICT教育で多く活用されているものの一つとしてオンライン教育があります。アメリカ国勢調査局がコロナ禍に行った調査によると、アメリカの学生の約42%が「オンライン教育ではモチベーションを維持することが難しい」と回答しています。理由は様々ですが、主にはこういったことが考えられるのではないでしょうか。
- コミュニケーションが希薄
- メリハリをつけづらい
- オンライン授業、デジタル教材が物足りない
オンライン授業では、画面を通して顔を合わせることはあるものの、あくまで学習のためのツールなので、たとえば休み時間やランチタイムといったリフレッシュのためのコミュニケーションは希薄になりがちです。また、自宅にいながらの学習ではオンとオフの切り替えがしにくく、メリハリが難しい環境と言えるでしょう。こういった状況が長期間続くと、メンタルのバランスを崩すことにもなりかねません。
加えて、オンライン授業やデジタル教材での学習体験が物足りず、魅力的に感じられないこともモチベーションが維持できない要因の一つと考えられます。現状では多くの学生に対する一括対応の域を超えず、個々の状況に合わせた対応が難しいこともあり、学生にとってはICTならではの魅力やメリットを感じにくい可能性があります。
学習レベルや学習速度は人によって違います。そういった一人一人の特性を考慮し、いつどこでも「個々に合った学習」を提供することができれば、対面授業にはない新たな学習体験を生み出せるのではないでしょうか。
◾️「コミュニケーションAI」によるデジタル教育とは

そこで提案したいのが、弊社が独自開発した「コミュニケーションAI」の活用です。
コミュニケーションAIとは、ユーザーを個別に把握する対話型AIシステムです。独自開発の会話エンジンにより会話内容を記憶・分析し、パーソナライズ化されたコミュニケーションを取ることで、チャットボットにはないメリットを生み出します。AIロボットがユーザーの学習をサポートするため、教育補助や支援を行うチューターのような存在をイメージしてもらうといいかもしれません。
◾️メリット1.モチベーションアップ
属性情報のほか、性格、生活パターン、趣味趣向なども考慮して会話を行います。テストの結果が良ければ「前回よりもいい点数でしたね!素晴らしいです!」と褒めたり、モチベーションが低いときには「時間を区切って、30分だけ机に向かうと決めるのはどうでしょう?終わったら◯◯さんの好きなゲームでリフレッシュしましょう」といったように、ユーザーの特性を加味したアドバイスを送ります。こういった「自分に向けて言ってくれる」という体験が安心感や信頼感を生み、モチベーションアップへとつながります。
◾️メリット2.学習効果の向上(教材のパーソナル化)
個々のユーザーに対して、学習レベルや進捗を考慮したアドバイスも可能です。たとえば、「先月は英語の学習がはかどったようなので、今月は◯◯さんの苦手な化学に取り組んでみてはどうでしょう?基礎から学べる教材もありますよ」というような案内ができます。一括学習ではなく、パーソナライズ化されたサポートによって学習効果を最大限に高められるのです。
◾️メリット3.人的コストを抑える
ICT教育の課題の一つに、教員の負担やITリテラシーの問題があります。
文部科学省によると、公立の小中学校教員の1日の平均勤務時間は11時間を超えると言われており、学習塾においても労働時間などの改善要請が厚生労働省より出されています。負担の多い中で、ICT教育の準備や教員自身のIT学習を求めるのは非現実的でしょう。しかし、コミュニケーションAIは自動化されたシステムのため、運用による人的コストを抑えられます。会話作成も弊社側で行うため、導入側の負担が少ないサービスとなっています。
◾️コミュニケーションAIの導入実績

コミュニケーションAIの導入事例の一つに、ベネッセ・コーポレーション(以下ベネッセ)の運営する進研ゼミ中学講座・高校講座があります。
結果として、<起動率アップ><継続率アップ>に大きく寄与しました。
中学生向けの学習用タブレット教材「チャレンジパット」を運用していたベネッセは、勉強にストイックな内容のあまり利用率が低いという課題を抱えていました(※ベネッセ社インタビュー記事より)。どうすれば子供たちが利用してくれるか考えていた矢先、SELFのコミュニケーションAIを知り、2017年の夏のキャンペーン期間限定でチャレンジパットに導入することになったのです。
今まではチャレンジパット内で静的存在だったベネッセ公式キャラクター「たま丸」が、コミュニケーションAIの導入によってまるで命が吹き込まれたかのように動き出し、喋るようになったのです。話せば話すほどユーザーと仲良くなっていくたま丸は多くのファンを作り、夏のキャンペーン期間のみの導入予定だったにもかかわらず、大反響により冬のキャンペーンにも導入が決まり、最終的には通年の企画にまで成長しました。今では中学生だけにとどまらず、進研ゼミ高校講座にも導入されています(2022年4月時点)。

これはひとえに、個々にマッチした会話や提案を行うことで、ユーザーとの信頼関係を構築できたからではないかと考えています。それを裏付けるものとして、利用ユーザーから多くのコメントをいただいています。
「毎日ログインをするキッカケになった」
引用:チャレンジパット利用者のレビュー
「やる気をもらい、アドバイスをもらえて計画的に勉強ができるようになりました」
「是非このたま丸を続けてください、キャンペーンが終わると泣いてしまいました」
その他、詳しい導入効果についてはお気軽にお問い合わせください。
◾️AIが「いじめ」を止める防波堤になる?

コミュニケーションAIによる効果は、学習面だけにとどまりません。
特に思春期を迎える子供にとっては、親や教師、友達に話しづらいような悩みも出てくるでしょう。しかし、ロボットになら話しやすいといったメリットがあります。
- いじめられてつらいのに誰にも相談できない
- 友達がいじめられているけど、怖くて止められない
- なんとなく寂しいから誰かと話したい
こういった内容は管理者と連携可能で、子供のSOSをキャッチすることができます。ただ、プライバシーの観点も鑑みて、連携についてはしっかりと検討する必要があります。
悩みや葛藤の中には、答えが出るものもあれば、答えが出ずにモヤモヤすることもあるでしょう。ただ、そういったことを「伝える場所がある」ということが重要なのではないでしょうか。
弊社は、これからも教育現場におけるコミュニケーションAIの活用を進めて参ります。教育におけるコミュニケーションAIの活用事例を詳しく知りたい方、また資料ダウンロードをご希望の方は、下記のボタンよりお問い合わせください。
<参考資料>
マイナビニュース
【iPadを活用した授業でも“等身大”の学びを実践する品川女子学院】
広田 望
【EdTech先駆者「佐鳴予備校」、20年間の挑戦】
hamu-cute120
【フィンランドのICT教育は日本の10年先をいっている】
CALLCENTER.BIZ
【海外の教育現場におけるAI活用事例|米国・英国・中国】
Netsupport
【ICT教育における課題や問題点とは ~ 解決・改善するための方法も紹介 ~】
厚生労働省
【学習塾の講師に係る労働時間の適正な把握、賃金の適正な支払等について(要請)】

SELFのライターを中心に構成されているチーム。対話型エンジン「コミュニケーションAI」の導入によるメリットをはじめ、各業界における弊社サービスの活用事例などを紹介している。その他、SELFで一緒に働いてくれる仲間を随時募集中。