目次
◾️一般化したチャットボット
かつて「イライザ」という対話型システムがありました。
「お腹が痛い」と入力すると「なぜお腹が痛いのですか?」と返答するような自然言語処理プログラムです。テキストでの単純なやりとりのみで、あらかじめ設定されているキーワードとユーザーが入力した文字列を処理し、返信用のテンプレートに載せて答えるといったいわゆるチャットボットの元祖でした。
その後も様々な会話ボットが誕生し、テキスト上のやりとりがメインだったところにSiri(Apple社)が登場しました。チャットボットの技術を応用し、テキストではなく音声でのやりとりが可能になったのは、人々に近未来を感じさせるに十分な出来事だったのではないでしょうか。
人間の代わりになりうる可能性を秘めたチャットボットは企業にも注目され、今では自社サイトのFAQ・商品案内ページなどへの導入がスタンダード化しています。
◾️チャットボットの課題とは
進化を続けるチャットボットですが、現状では課題もあります。
ここでは、チャットボットに多い「ワード検索型」と「ツリー構造型」に着目し、それぞれの特徴をもとに課題点を見ていきます。(図1)
◾️ワード検索型の課題
- Q&Aの対応に終始
- 一問一答のやりとりのみ
- 短期的な関係性
ワード検索型は、イライザのような仕組みです。主に企業サイトのFAQページなどに導入されることが多く、質問に対して準備された情報を瞬時に出力します。多くはQ&Aの対応であり、一問一答のやりとりがメインとなっている中で、たとえば質疑応答を重ねれば別ページに案内することができたり、ユーザーニーズを深掘りできれば新たな提案が可能になるかもしれません。
◾️ツリー構造型の課題
- 決まった導線のみで展開
- 細かいニーズには対応できない
- 短期的な関係性
ツリー構造型は、文字通り始点となる会話から選択肢によって流れが枝分かれしていきます。ケースごとに解決法や対処法を案内できるため、主に注文や手続きのサポートとして導入されています。しかし、あらかじめ決められた導線のみで進行していくため、想定にないケースでは対応しきれず、ユーザーの細かいニーズに応えることが難しいといった問題があります。もしユーザーのニーズを拾うことができ、その情報を覚えて次の会話に生かせれば、ユーザビリティが向上し、結果的にCVにつながるかもしれません。
◾️SELFの「コミュニケーションAI」ができること
一方、弊社開発のコミュニケーションAIは、会話によってユーザーのニーズを把握し、能動的に情報提案することができるシステムです。
弊社は、「検索しなければ欲しい情報にたどり着けない」現状から「検索せずともAIロボットが必要な情報を能動的に提案してくれる」といった未来の仕組みをつくっています。
コミュニケーションAIでは主に3つの点でチャットボットとの差別化を図っています。(図2)
- ユーザーの要素を取得
- 個別に記憶
- 会話や提案に応用
一問一答のやりとりや、決められた分岐シナリオが展開されるチャットボットとは違い、弊社では会話を重ねることで属性情報や趣味趣向、生活パターンといった様々な要素を取得します。さらにそれらを個別に記憶し、ユーザーごとに最適な提案を行います。この「取得・提案」のサイクルを繰り返すことでAIが学習し、提案精度がアップしていくのです。
また、チャットボットでは基本的にユーザー発信による単一方向の会話となりますが、コミュニケーションAIでは能動的なアプローチができます。 たとえばお酒が好きな会社員ユーザーには、「今日は金曜なので、仕事終わりに飲みに行くのですか?」という問いかけから、「ダイエットしたいと言っていたのでほどほどにしましょう」といった注意喚起につなげることもできます。
こういった仕組みにより、まるで人と話をしているかのような会話体験を実現しました。チャットボットにはないコミュニケーションAIならではの強みを生かし、今後も企業やユーザーの抱える課題・問題を解決していきます。
◾️「コミュニケーションAI」導入による実際の効果
では、コミュニケーションAIの導入によりどういった効果が出ているのか、明太子の製造・販売で有名な株式会社ふくや(以下ふくや)が運営するECサイトを例にご説明します。
ふくやのECサイトに、コミュニケーションAIを活用したサービス”SELF for EC”を導入いただき効果検証を行った結果、カート追加率が3.5倍、最終コンバージョンの決済完了率が3.6倍となりました。(図4)
効果が出た要因の一つに、実店舗での接客をECサイト上でも実現できたことが考えられます。
もともと実店舗での売り上げやコールセンターでの通信販売が9割を占めていたふくやにとって、コロナ禍による「巣ごもり」への対応は急務でした。客の消費行動は大きく変化し、2020年度のECサイトでの売り上げが急増したことから、ふくやは実店舗での接客と遜色ないレベルの接客体験がECサイトでできないか模索しました。
- ユーザーの目的は何なのか
- そもそも目的があって来たのか
- ギフト用で考えているのか、もしくは自分用なのか
- ギフト用なら誰にどういうシチュエーションで送るのか
こういったニーズを探るため「WEB上の接客員」を設け、実店舗と同じようにユーザーと会話をしながら商品提案を行っていきました。結果的に”SELF for EC”導入後のカート追加率、決済完了率は大きく向上し、ユーザーニーズを把握することによる的確な商品提案が結果に寄与したと考察しています。
◾️その他の事例(BtoB/BtoC)
弊社では自社アプリも開発しています。
上記以外の事例も含め、BtoC・BtoB事業をご紹介します。
◾️BtoC事例1.生活サポートアプリ【SELF】
弊社の原点となるスマホアプリです。
キャラクターには種類があり、ユーザーに寄り添って励ましてくれるタイプや、ユーザーの価値観を学んで成長していくタイプなど、気分や好みによって使い分けられます。
ユーザーを深掘りし、会話をすればするほど親密度が増していくといった特性上、多くのユーザーにとって日々の生活サポートや心の支えとなっています。当アプリは「Google Play ベスト オブ 2018」の部門賞を受賞し、130万DLを達成しています。(2022年3月時点)
◾️BtoC事例2.メンタルケアアプリ【SELF MIND】
SELFアプリの特性を生かしつつ、メンタルケアに特化して開発されたのがSELF MINDアプリです。認知行動療法に基づき、AIキャラクターの「マーク」がユーザーと会話しながらストレスケアをしていきます。
「ストレスレベル」によって会話内容が変化したり、マークがユーザーの思考整理と悩みに応じたアドバイスを送る「AIカウンセリング」や、ユーザーの状況に合わせたストレス解消法を提案する「ストレス・コーピング」など、多様な機能でユーザーのメンタルを支えます。
SELF MINDでは言語対応を行なっており、英語でのご利用も可能です。(※他サービスでも言語対応可能)
◾️BtoB事例1.ニッポンセレクト【ウィジェット型サービス】
前出の、ふくやへ導入したサービスです。汎用性が高く、多くの業界で対応可能です。具体的にどういった提案をしているか、株式会社ふるさとサービスが運営する産直お取り寄せECサイト「ニッポンセレクト」への導入を例にご説明します。(上図)
- 目的を把握。(ギフト用/自宅用/その他)※ニーズの把握
- 贈り先を把握。(友達/家族/仕事関係など)※適切な商品の絞り込み
- おすすめ商品を提案。※ニーズに沿った能動的な提案
- 別のアプローチでも商品選択が可能。
このように、訪問ユーザーから「誰に」「何を」「どういったシチュエーションで」などのニーズを探り、ユーザーにとってもっとも適した提案を行います。また、訪問時の情報は記録されるため、再訪問時には「そういえばお酒が好きでしたよね」といったような、過去のデータに基づいたスムーズな案内が可能です。
◾️BtoB事例2.SOMPOヘルスサポート【ルーム型サービス】
アプリなどと連携し、ルーム型のサービスとしてもご活用いただけます。会話体験やキャラクター設定、背景画面など幅広いカスタマイズが可能で、目的に沿った独自性の高いサービスとなります。
たとえば、SOMPOヘルスサポートが展開しているスマホアプリ「QUPiO With」では、喫茶店のウエイトレスという設定のAIキャラクター「橘ちほ」が、来店したユーザーの健康管理をサポートします。(上図)
データ連携をすることで体重や腹囲などを記録し、数値の変動によって橘ちほが個々に最適なアドバイスや励ましを行います。また、時間帯によって背景や会話内容が変化したり、ニュースや天気をチェックできるなど、様々な仕様をご検討いただけます。
◾️目指すのは能動的な情報提案
情報過多の現代においては、情報の取捨選択が大切です。インターネット時代が続く限り、我々は今後も情報検索・選択を強いられるでしょう。
「検索が面倒」
「わからないから誰かに聞きたい」
SELFはそんな悩みを解決するとともに、ユーザー自身も気づいていないような潜在欲求を発見・刺激し、コミュニケーションAIによって能動的に商品やサービスを提案するといった、今までにない体験を生み出します。
弊社へのご質問やお問い合わせ等、随時受け付けております。
- 導入費用はどのくらい?
- AIによる学習方法とは?
- 他の導入効果は?
その他、サービス詳細を知りたい方はぜひお気軽にご連絡ください。
SELFのライターを中心に構成されているチーム。対話型エンジン「コミュニケーションAI」の導入によるメリットをはじめ、各業界における弊社サービスの活用事例などを紹介している。その他、SELFで一緒に働いてくれる仲間を随時募集中。