京都府でトヨタ車とレクサス車の販売とメンテナンスを行っている京都トヨペット株式会社(以下、京都トヨペット)は、各店舗の従業員から本部への社内問い合わせ対応、および資料検索の工数削減を目的としてSELF株式会社の提供する生成AIチャットボット「SELFBOT」を導入しています。
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今回は、SELFBOTの導入に至るまでの背景や、実際の運用・管理における体験談を、京都トヨペットの髙橋様に伺いました。

インタビューにご協力いただいた方
京都トヨペット株式会社
技術管理教育
技術管理 担当課長
髙橋 徹 様
京都トヨペットの本部部門で、主にメンテナンスを行うエンジニアのスキルトレーニングや、工場設備の維持・保守や、エンジニアが行う業務処理の問い合わせ窓口を担当
◇ 専門性の高いナレッジをいかに共有、継承するか
━━ 髙橋様のチームは、各店舗のエンジニアからの問い合わせ対応を担当されているということですが、SELFBOTの導入に至った経緯、抱えていた課題についてお聞かせください。
髙橋様:社内でAIチャットボット導入の話が出た際、「まず我々のチームに導入してほしい!」と必死に経営陣にアピールしました。
我々のチームは専門性の高い部署であり、常に新しい知識や技術を学んでいく必要があります。中でも車両についている「メーカー保証」での修理業務や、国のリコール制度に基づく修理の実施に関する業務には、正しい知識と幅広い知見が必要となります。
各店舗では、故障や不具合が発生している部品や機構を特定し、ルールに基づいて正しく修理・交換を行う必要があるため、作業を行っているエンジニアたちから
「主要因を特定するうえでどのようにアプローチすべきか?」
「このケースではどのように処理するのが適正か?」
といった、本部への問い合わせが絶えません。
しかしながら本部では、そういった専門性の高い問い合わせへの回答は、対応する担当者個人の経験や知識に頼らざるを得ない状況が続いていました。しかもその担当者が定年退職間際ということもあり、属人化した知識や知見をどう引き継いでいくかが、数年前からの課題でした。
また、社内に蓄積された膨大なナレッジの共有化と他の社員でも対応可能なシステムを構築したいというのが、AIチャットボット導入の主な目的でした。
━━ 専門性が高く、限られた人にしか答えられない質問が多い、ということですね。
髙橋様:はい、その通りです。単純に、取り扱う情報の専門性が高いこともありますが、非常にボリュームのある手順書やマニュアルの中から該当するページをいかに素早く探し出せるか、という点も、経験によって大きく変わります。
(担当者が)自分の中に持っている引き出しの数が多ければ多いほど、幅広い質問に素早く答えられるので、ついつい経験豊富なベテランの担当者に、現場からの問い合わせが集中します。これは、我々のチームだけではなく、本部の他セクションでも全般的に見られる傾向ですね。
ベテラン担当者に問い合わせが集中することで、他の担当者がスキルアップする機会も減ってしまうので、本当に難しい問題です。
━━ ナレッジ共有なら、Q&Aやマニュアル類を公開する、という手法もあると思いますが、そういった対応もされていたのでしょうか。
髙橋様:作成したQ&Aやマニュアル類は、紙での配布や社内のポータルサイトでの掲載も行っていました。しかし、膨大な資料の中から必要な情報を探し出すという手間があり、エンジニアも本部の詳しい人にTELで聞くのが一番早いということで、窓口への問い合わせが多いのだろうと思います。
何とかしたいけど答えが見つからない、というのがこの「問い合わせ対応」でした。

◇ 「問い合わせ対応」にSELFBOTを選んだ理由
━━ SELFBOT(生成AIチャットボット)の最初の印象はいかがでしたか?
髙橋様:まず、TELで問い合わせ内容を話し言葉で伝える、それを担当者が素早く資料をめくって回答を導き出す、という我々が実際に行っていたプロセスを自動化することができれば……というのが期待値でした。
SELFBOTのデモンストレーションを拝見したところ、それが実現できていただけではなく、思った以上に分かりやすい文章で、素早く回答することができていて、驚きましたね。
これなら現場ですぐ使える、しかも「(エンジニアが所属する)店舗と本部の双方で工数削減に繋がる」と感じました。
━━ 他のサービスとも比較されたのでしょうか?
髙橋様:利用者の視点でどう使うか、システムやパソコン操作に精通していない社員でも、自分で設定や運用ができるか、という観点で、3サービスほど比較を行いました。
結果として(SELFBOT以外の)他のサービスは、質問への理解度や回答精度が不十分だったり、利用できるBotの数が一つだけだったりという点で、我々の抱える課題を解決するには至らないと判断されました。また、サービスの規模感や運用面で、我々の求めているものと違うな、というものもありました。
━━ SELFBOT導入の決め手となったのは、どういった点でしたか?
髙橋様:SELFBOTは低価格で利用開始でき、必要に応じて機能の拡張が可能な点が私たちの目的に適していました。
SELFBOTは複数体のBotを作成して同時に運用できるので、部署単位での利用が可能という点が高評価でした。他にも、導入時のセットアップの簡単さ、回答の正確さなどを高く評価しました。
◇ SELFBOTの導入〜運用・管理について
━━ 導入のプロセスで、苦労した点があれば教えてください。
髙橋様:幸い、私たちにはベテランの担当者が作成していたQ&A資料もありましたし、手順書やマニュアルなどはPDFファイルで持っていました。
(RAGにおける検索の)リソースとして使うデータは既に揃っている状態で、あとはSELFBOTに登録するだけでしたので、導入はびっくりするぐらい簡単に終わりました。リソースを登録してから、発生しそうな問い合わせを入力してみて、動作チェックをしながら追加のQ&Aを登録したぐらいですね。
苦労したというより、動作チェックも楽しみながらしていました。「おぉ、凄い」とか「これは回答しないんかーい」とか言いながらやってましたね。
━━ SELFBOTの挙動は、当初期待されたレベルに到達できましたか?
髙橋様:質問の意図を取り違えて誤回答を出してしまう、というのはTELでの問い合わせ対応時にも起きることですので、ある程度はSELFBOTでも起きるだろうと覚悟していましたが、今のところ誤回答はない印象ですね。
ただし、リソースの情報不足が原因で、利用者からの質問に答えられないことはあります。
とはいえ、はっきり資料(リソース)にある問いには答えてくれていますし、まだまだ改善の余地はありますが、現状では期待以上の働きをしてくれていると思います。
━━ おすすめのSELFBOTの機能はありますか?
髙橋様:ちょっとした機能だと思いますが、(回答生成時に)参照されたPDFファイルを開くとき、自動的に引用された内容が載っているページを開く、というのが嬉しいですね。
ファイルを開いてから単語で検索して該当のページを見つける、といった手間を省いてくれるので、業務効率アップに繋がります。

━━ SELFBOTが効果的に利用されるために、取り組んでいることがあれば教えてください。
髙橋様:主な利用者は、各店舗に所属するエンジニアです。毎月行っているエンジニアリーダー会議でSELFBOTを話題に取り上げ、各店舗での利用状況を共有し、活用を促進しています。
また各店舗にIDを付与することで、どの店舗からのどんな質問があったかがわかるようになっているので、細かく確認しています。今後、回答精度が高い状態を維持することで、各店舗で日常的に活用するようにできればと思っています。
◇ 業務改善は、より良いサービス提供のために
━━ 最後に、SELFBOTを利用した今後の取り組みや目標について教えてください。
髙橋様:まずは我々のチームで行っている保証担当者の業務代替については、さらに推進したいと思っています。
会社全体でいうと、人事関連や情報システム関連、新車登録業務関連などの問い合わせ対応にも既にSELFBOTを利用しています。こういった専門領域は他にもまだまだあり、SELFBOTの活用領域が拡げていくことで、必要な帳票や資料を探し出す手間を減らすことができると感じています。
また、本部担当者の中でも、これまでベテランスタッフしか対応できなかったような問い合わせにも、SELFBOTを通じて対応が可能になることで会社全体で「ナレッジの共有」ができるんじゃないかと期待しています。
このような業務改善を通じて、従業員ひとりひとりがお客様対応に充てる時間をより多く創出できれば、今よりもっと良いサービスが提供でき、お客様にとっても安心・安全にお車に乗り続けていただくことに繋がるのではないかと考えています。

━━髙橋様、インタビューへのご協力ありがとうございました。
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