株式会社椿本チエインは、製品サイトのリニューアルに伴い生成AIボット「SELFBOT」を導入し、お客様の自己解決を促す案内役として活用しています。24時間365日のダイレクト回答を実現し、サイト訪問者数が倍増する中でも問い合わせ件数の増加を抑えることに成功しています。
今回は、同社の製品サイト運用に携わる小川氏に、製造業におけるAIチャットボット導入の経緯や導入効果、そしてナレッジ継承への活用といった今後の展望について伺いました。自社のDX推進や顧客対応の効率化に悩む製造業のご担当者様、必見のインタビューです。
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今回のインタビューにご協力いただいた方

インタビュアー:北島大地(SELF株式会社)
目次
■ 導入前の課題:膨大な製品情報とWEBサイト構造の壁
北島(インタビュアー):本日はよろしくお願いします。
小川氏(椿本チエイン):はい、よろしくお願いします。
北島:まず、SELFBOTを導入する前、御社の製品サイトではどのような課題を抱えていたのか、お聞かせいただけますか?
小川氏:大きな課題は、商品点数が非常に多いことと、サイトの構造が商品とコンテンツの「マトリックス構造」になっていたことです。一般的な階層構造と異なり、お客様が目的の商品情報に深く入り込んでいくためのルートが複雑で、分かりにくいという問題がありました。
たとえば特定の製品の関連情報が欲しい時に、その製品ページ内を探しても記載されていなくて、上のメニューから項目を選ばないと目的のページにたどり着けないという構造でした。
北島:掲載情報の種類が多いことも、製造業ならではのお悩みでしょうか?
小川氏:そうですね。メーカーであるがゆえに、技術情報や正しい取り扱い方法などの製品の深い情報までサイト上に網羅している必要があり、そこは大きなポイントだと思っています。
■ きっかけは「SELF」アプリ。パーソナライズされた顧客体験の実現へ
北島:初めてSELFのチャットボットを導入した経緯について改めてご説明いただけますか?
小川氏:はい。私の上司が元々スマホアプリの「SELF」を使っている中で、業務と結びつけてパーソナライズされたユーザー体験を提供できるのではないかという閃きがあり、アプリの開発元のSELFさんにコンタクトしたのがきっかけです。
北島: 今後は、どのようにパーソナライズされた体験を提供したいとお考えですか?
小川氏: 問い合わせを受ける一歩手前の、ユーザー体験の部分ですね。今後は、チャットボットに入力された質問にまずAIが回答し、ご満足いただけなかったものだけを有人対応にしたいと思ってます。
その際に、フォーム入力によってユーザー情報を取得することができれば、誰がどんなことを聞こうとしているのかが事前に把握できるので、パーソナライズされた体験の提供につながるのではと考えています。
※ スマートフォン向けアプリ「SELF」は、SELF株式会社が2016年にリリースした対話型生活サポートAIアプリです。
アプリ公式サイト→https://self.software/
■ ページ案内から「生成AI回答」へ。システム転換の理由
北島:2021年の導入当初は、サイト案内を目的としたボット(SELF-AI)を導入いただきました。その後、生成AIを活用した「SELFBOT」にシステムを転換した経緯を教えてください。
小川氏:生成AIを活用したボットなら、探したい情報=課題・質問にダイレクトに答えることができるので、問い合わせ対応業務の削減につながると判断しました。
人が問い合わせに対応する場合、どうしても回答が翌日や翌々日になったりと時間がかかることもありますが、ボットなら365日24時間対応可能になります。
回答するまでにかかる時間を大幅に短縮することで、ユーザーの利便性が向上すると考えました。

北島:御社では単純なFAQ(よくある質問)だけでなく、製品の技術情報まで踏み込んだRAG(検索拡張生成)システムを構築しました。リソース(学習資料)の整備にはご苦労も多かったのではないでしょうか?
小川氏:はい。従来公開していたWebサイトの情報と、カタログに記載されている情報の粒度には大きな差がありました。AIに製品を正しく理解させるために丁寧なリソースの構築が必要だったのが苦労話といえば苦労話ですね。
あと、商品情報を適切に読み込ませるために、サイト上の商品群、シリーズ、タイプといった階層構造の整理を行ったりもしました。
■ UU数倍増でも問い合わせは「横ばい」。社内外で高まるAIへの反響
北島:導入後、どのような効果がありましたか?
小川氏:目に見える効果として、サイトのユニークユーザー数(UU)が導入前の約4万から約9万へと倍増しているにもかかわらず、Webからの問い合わせ件数は「横ばい」を維持しています。リピートでの問い合わせも少なく、ボットがお客様の自己解決を促すことで、問い合わせ対応工数の増大を防いでいると推測しています。
北島:社内外からの反響はいかがですか?
小川氏:お客様からは「先進的な取り組みだ」というコメントをいただいたり、営業が訪問した際の雑談のきっかけになったりしています。社内でも、他の事業部の社員がボットを利用しているログが確認されています。CS部門でも、顧客からの電話対応中にボットで回答内容を調べたりする利用も可能と考えています。
北島:チャット画面に表示されている御社のオリジナルキャラクターについてはいかがですか?
小川氏:AIキャラクターの「椿りん」も好評です。アニメーションがあって親しみやすいことから、社内のリーフレットに採用されたりもしています。

■ 目指すは集合知のアーカイブ化と世代を超えたナレッジ継承
北島:最後に、今後のSELFBOT活用の展望についてお聞かせください。
小川氏:まずは、現状Webサイトに搭載されているボットが回答できていない高度な質問に対応できるよう、ログを分析しながらリソースの追加や最適化を進めていきます。
社内規定やマニュアルなど、庶務的な内容の受け答えの実現も可能ではないかと考えております。
教育用途については、特定の話題ならAさんに聞く、Bさんに聞くという属人的な体制から脱却するため、過去の知識も含めてアーカイブ化して、ボットというインターフェースで受け答えをする。ボットがOJTを担うような形を目指して、取り組みを進めています。
北島:問い合わせ対応だけでなく、ナレッジの共有・継承をボットが行っていくということですね。
小川氏:そうですね。ボットが相手なら気兼ねなく質問できるというのも重要な点です。
新入社員のすぐ上が40代のベテランという部署もあるので、わからないことがあって質問したくても尻込みする部分もあるだろうと思っています。その点、生成AIなら人に相談できないような質問もパッとできますからね。
北島: 社内向けボットの取り組みの中で、工夫している点はありますか?
小川氏:PDFやExcelの表・画像形式のままだと、データが正しく登録されないケースがあるため、できるだけテキストデータでリソース登録するようにしています。
そのため、過去のレポートや集計データだけでなく、特定の社員に面談形式でインタビューを行い、録音データを文字起こし・要約したものもリソースとして活用しています。
北島: なるほど、データの形式によって登録精度に差が出るというのは重要なポイントですね。そうなると、今後は情報を蓄積していく段階から、AIで扱いやすい形にどう整備するかが運用上の鍵になりそうです。
インタビューという形式で知識やノウハウを抽出するというのは、とても良いアイデアですね。
小川氏: そうですね。保有している資料類だけでなく、大ベテランの豊富な知識をそのまま活用できるので、いい手法だと思っています。

北島: 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
小川氏:ありがとうございました。
■ SELFBOTとは
「SELFBOT」は高精度のデータ処理能力と直感的に操作できるUIを兼ね備えた生成AI+RAGツールです。既存のドキュメントやWebページを登録するだけで精度の高いRAGが利用でき、各種問い合わせ対応や社内ナレッジ共有を自動化・効率化可能です。
サービスの詳細、料金などについては下記のページをご覧ください。
SELFBOT サービス詳細:https://self.systems/selfbot/

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