自社で作成したコンテンツ(ブログ記事、動画、ホワイトペーパーなど)を使ったコンテンツマーケティングは中長期的に有効なマーケティング活動として多くの企業が実施しています。コンテンツマーケティングの代表的な手法として、オウンドメディアの運用があります。自社の特長や専門性を活かしたコンテンツをオウンドメディアで発信することで、効果的に顧客エンゲージメントの促進を目指すことができます。
しかし、オウンドメディアの運用には様々な課題も存在します。
本稿ではオウンドメディアの運用における課題と、自社のコンテンツ資産を最大限活用する「生成AIボット」の活用について解説します。
目次
◇オウンドメディアのメリットと課題
オンラインマーケティングが一般化した現代において、オウンドメディアは顧客との接触機会増加を目的とした有効なチャネルの一つです。その最大のメリットは、コンテンツを蓄積することができるという点です。蓄積したコンテンツは検索エンジンなどを通して多くのユーザーの目に止まる可能性があります。またSNSやメールマガジンに転載して配信することで顧客との接触機会をさらに増やすことができます。
ただしSNSやメール配信で一度使ったコンテンツは再利用しづらく、ユーザーの関心を引き続けるためには常に新しく良質なコンテンツを追加し続ける必要があります。
◆オウンドメディアの立ち上げ・運用は大変
オウンドメディアを立ち上げ、効果的に運用するのは容易いことではありません。
メディアを立ち上げるコストだけでなく、魅力的なコンテンツを継続的に追加し、古い情報は更新するなどの手間もかかります。また検索結果で上位に表示されるためには、SEO(検索エンジン最適化)を考慮したコンテンツ作成のノウハウが必要となり、良質なメディアとして信頼されるためにはコンテンツの質・量の両方が求められます。
◆コンテンツが埋もれ、ユーザーにリーチできない
コンテンツの量や種類が増えるほどサイトの構造が多層化・複雑化し、良質なコンテンツが埋もれてしまうという課題もあります。ユーザーニーズに即した質の高いコンテンツを作成したとしても、ターゲットとなるユーザーがそのコンテンツを見つけられなければ意味がありません。
コンテンツを蓄積できることがオウンドメディアの強みではありますが、ただ蓄積するだけではせっかくのコンテンツ資産を十分に活用することは難しいのです。
こうした課題を解決する有効な手段の一つがChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)と連携した「AIチャットボット」の活用です。
弊社(SELF株式会社)ではChatGPTと連携した次世代チャットボット「SELFBOT」を開発・提供しております。サービス・プランの詳細はこちらのページをご覧ください。
◇生成AIボットの有効性と活用事例
米OpenAI社の開発したChatGPTは、高度な自然言語処理技術によってまるで人間のような自然なテキスト生成を可能とした大規模言語モデル(LLM)です。このChatGPTとAPIによって連携したAIチャットボットをオウンドメディアに導入することで、コンテンツ資産を最大限活用したマーケティングを実現することができます。
ここからは弊社の提供する「SELFBOT」の実際の導入事例を元に、生成AIボットの有効性を解説します。
◆導入事例:株式会社ビューティガレージ
株式会社ビューティガレージは、BtoBの理美容商材の卸しを軸とした、美容業界におけるインターネット販売のパイオニア企業です。同社の運営するサイト内の「SALONスターター開業支援サイト」、および公式オンラインストア内のFAQページには「SELFBOT」が導入され、サイトを訪問したユーザーに対し美容サロンの開業相談や問い合わせ対応を行なっています。
当事例の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
サイトを訪れたユーザーは画面上に表示されたチャットフォームでSELFBOTとやり取りをします。投げかけられた質問への回答は、用意された選択肢を選ぶ形式の他、フリーテキスト入力での回答も可能です。SELFBOTがユーザーの回答を解析し、コンテンツ誘導など的確な案内を行います。
◆膨大な量のコンテンツをAIが自動で解析
従来のチャットボットは、効果的なUXを実現するためには入念なシナリオを作成する必要がありました。しかしChatGPTと連携した「SELFBOT」なら、学習範囲に当たるWebページのURLやドキュメントを指定するだけで自動的に内容を解析できるため、シナリオ作成の必要がありません。
ビューティガレージの運営サイトでは、350ページ以上に及ぶオウンドメディアのURLをAIに学習させることで、これまでに蓄積されてきたコンテンツ資産、ナレッジ資産をユーザーの疑問や課題の解消に活用しています。
◆GPTがコンテンツ内容を解析、要約してユーザーに伝える
企業の担当者がどれほど熱を込めて作成したコンテンツであっても、ユーザーにとっては負担に感じられることもあります。「もっとわかりやすく、必要な情報だけをかいつまんで教えて欲しい」。Webコンテンツに対してそう感じたことは誰にでもあるでしょう。
「SELFBOT」はチャット形式のAIツールだからこそ、対象のコンテンツを余すところなく解析した上で、内容を整理・要約してユーザーに伝えることができます。
ユーザーは不明点があれば即座に質問し、回答を得ることができます。同時にテキスト生成の根拠となったコンテンツを提示することで、ユーザーを該当のコンテンツへ導くこともできます。
◆顧客に合わせたコンテンツ提案を実現
従来の「ただ蓄積するだけ」のオウンドメディア運用では、ユーザー自身が興味のあるコンテンツを探し、自力でたどり着く必要がありました。しかしユーザーと対話を行う生成AIボットなら、ユーザーのニーズを的確にヒアリングし、適したコンテンツへと即座に案内することが可能です。そのユーザーが潜在顧客なのか、見込み顧客なのか、既存顧客なのか、自然な対話を通して判断し、それぞれに適したコンテンツへと誘導することができるのです。ただ質問に答えるだけでなくコンテンツを提案することで、より効果的に顧客エンゲージメントへとつなげることができます。
◆短期間での導入を実現
従来のチャットボットはシナリオ作成や管理画面での設定等の準備が必要なため、導入には数週間から数ヶ月という期間を要していました。しかし、GPTと連携した「SELFBOT」では学習範囲となるデータを指定するだけで導入準備が完了するため、圧倒的にスピーディーな導入が可能となりました。
◆セキュリティー上の懸念も解決
SELFBOTは、Azure OpenAI(API)と連携しており、送信したデータがLLMの学習に再利用されることはありません。また、電話番号やメールアドレスといった個人情報の入力を拒否することにより、セキュリティ上の懸念に対応しています。
LLMのセキュリティ上の懸念と対策については、こちらの記事をご覧ください。
◇生成AI時代のコンテンツマーケティングとは
従来のオウンドメディア運用は短期的なエンゲージメントには繋がりづらく、効果を上げるには相応のコストと時間が必要であるとされてきました。その背景には、オウンドメディア自体がコンテンツを用意して顧客を待ち構える「受け身のマーケティング手法(インバウンドマーケティング)」であるという特性があります。しかし、自社の保有するコンテンツ資産を最大限活用し、的確にユーザーにアプローチすることができれば、より効率的に顧客エンゲージメントを高めることができるはずです。生成AIボットの登場は、従来のオウンドメディア運用の課題解決につながる画期的なツールといえるでしょう。
◆セールス、社内ナレッジ活用にも
この仕組みはオウンドメディア運用に限らず、他の様々なオンラインサービスや業務DXに利用することができます。Webサイトにおけるサイト案内やカスタマーサポートだけでなく、セールスや社内ヘルプデスク業務にも活用可能です。いずれの用途も、従来のチャットボットでは膨大な量の情報(コンテンツやナレッジ)を整理し、ユーザーと的確に結びつけるためのシナリオ作成が必要でした。この煩雑なシナリオ作成がチャットボット導入における最大の課題と言っても過言ではありません。ChatGPTなどと連携した生成AIボットは、この課題を一挙に解決できる次世代のマーケティングツールとなり得るでしょう。
弊社(SELF株式会社)ではAzure OpenAIを利用し、GPTモデルと連携した生成AIボットサービスを提供しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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