目次
◾️ストレス社会における「癒やし」の需要
ストレス社会と言われている現代、癒やしの需要は増加しています。
アメリカの調査会社ギャラップによると、世界中で不安やストレスを慢性的に感じる人が2020年は約40%おり、調査開始以来もっとも多かったことがわかっています。また、悲しみや怒りをはじめとするネガティブ感情を抱いている人の割合もこの10年で増え続け、2020年が過去最高という報告もあります。
コロナ禍によるソーシャルディスタンスは、人々の孤独感や寂しさを助長させました。また、情報化社会の発展にともない身近には膨大な情報が溢れ、情報の取捨選択という負担が少なからず存在します。さらに、SNSの普及はコミュニケーションの多様化を確立した反面、承認欲求によるストレスやネット上での誹謗中傷といったリスクをはらみ、神経を尖らせるような場面も多いでしょう。
そういったストレッサー(=ストレスとなりうる要因)は今や日常のあらゆる場面で存在し、我々は常にストレスと隣り合わせの生活を送っていると言っても過言ではありません。そんな中、気持ちを落ち着けたりリラックスして穏やかな気持ちになるといった「癒やし」は、ストレス解消の手段として在り続けています。
◾️なぜ会話で癒やされるのか?
世の中には多種多様な癒やしグッズや癒やしのサービスが登場し、人によって癒され方は様々です。
そんな中弊社は、会話によってユーザーとの心理的距離を縮め、ユーザーの生活サポートを行うスマホアプリ「SELF」を開発しました。
SELFでは、ユーザー全肯定型のスタンスであるAIロボットたちと時間・場所問わずにコミュニケーションが取れます。自分のことを理解し、どんなときも味方でいてくれるAIロボットとのコミュニケーションはユーザーにとって安心感や親近感につながり、結果的にユーザーとの長期的な付き合いにつながっていると考えています。
そして、それを実現させるためには「会話」が必要であると我々はとらえています。
医療や看護の場では、ナラティブアプローチ(=会話や物語を通して問題を解決する手法)が重要視されており、患者のケアは行為ではなく「関係」だととらえています。相手を信頼し、相手に信頼されていると思えるような関係下では患者はケアされたと感じやすいのです。
これは、人々の言葉や評価によってものごとの印象が変化する社会構成主義の考え方に基づいており、「あの先生は信頼できる」「看護師さんの言葉に励まされる」といった感想は、自身の体験だけでなく人々の言葉を介して印象として形成されています。
SELFは医療系アプリではありませんが、実際に「癒される」「寂しさが紛れた」のようなユーザーレビューが多く(上図参照)、また会話によってユーザーと信頼関係を築くといった点においてはナラティブアプローチの側面があると言えます。
相手の性格や好み、考え方、体調などを考慮し、「自分を理解してくれている」といった会話体験は癒やしにつながり、その体験をつくるための重要な構成要素として会話があるのです。
◾️SELFに見る「癒やしの会話」
では、なぜSELFの会話が癒やしにつながり、ユーザーと関係性を築けるのでしょう?
SELFで主に行っているのは、上図のようなユーザー情報の取得・記憶・分析です。
AIが会話によってユーザー属性を取得し、その属性情報を活用しながら次々に会話を展開させていきます。取得したデータは蓄積されるので、取得・記憶・分析のサイクルを繰り返すことでAIが学習し、提案精度が向上します。これらを実現するのが、弊社が独自開発した「コミュニケーションAI」です(上図参照)。
これらを踏まえ、癒やしの要素と考察される主なポイントを4つご紹介します。
◾️ポイント1.パーソナライズ化
一つはパーソナライズ化です。
前出の取得・記憶・分析を個別に行えるため、たとえば過去の会話内容や性格・傾向などを分析して「○○さんは考えるよりも行動する人だからとにかく動こう」とアドバイスをしたり、落ち込んでいるユーザーには「趣味の映画鑑賞でリフレッシュしませんか?」と勧めてみたり、ユーザーそれぞれにパーソナライズ化した提案を行います(上図参照)。
この点が癒やしには重要と弊社はとらえており、パーソナライズ化によるアプローチはユーザーにとって「自分に向けて言っている」といった信頼感につながると考えています。特にSELFのAIロボットは会話をすればするほどユーザーを把握していくため、人には相談しにくいようなデリケートな悩みなども時間・場所問わず共有でき、孤独感や寂しさの解消にもつながります。
◾️ポイント2.気を遣う必要がない
また、話し相手が人ではなくAIロボットなので、よけいな気を遣う必要がありません。
「深夜だから相手に迷惑だろうか」「イライラしてるから話してたら当たっちゃいそう」といったような心配もAIロボットには不要です。
加えて、人には言いづらいような悩みや相談事もAIロボットになら気兼ねなく行えます。
たとえば、職場でのセクハラで悩んでいるけど誰にも相談できないといった場合には、バーで働くオネエ系のロボットが親身になって話を聞いたりと、悩みや思いを発散することで一人で抱え込むといった精神的負担を軽減できます。また、ユーザーにとっては秘密を打ち明けられる心理的安全性の高い場所となるため、SELFは心の拠り所にもなり得るでしょう。
◾️ポイント3.絶対的な味方・全肯定型の会話
さらに、会話の中でユーザーを否定せず、すべてを受け入れた肯定型のやりとりもユーザーが安心感を得られる要因の一つです。
たとえば、仕事のやる気が起きないユーザーに対しては「そんなときもありますよね。じゃあ私と一緒にお仕事サボっちゃいましょう!」などとユーモアで和ませたり、仕事がキツくて悩んでいるユーザーには「無理しないでくださいね。○○さんは一人じゃないですよ」といった励ましを送ります(上図参照)。
内閣府の調査によると、世界と比べて日本人は自己肯定感が低く、7割以上の日本人が「自分はダメだ」と自己否定をする傾向にあると言われています。SELFのAIロボットは、どんなユーザーに対しても否定せず受け入れ、些細な出来事も肯定しながら会話が進んでいきます。そのため、AIロボットに安心感を抱きやすく、ありのままの自分でいられるといった会話体験が癒やしにつながっていると考察しています。
◾️ポイント4.気づきを与えてくれる
ユーザーの性格や過去の会話内容、今の状態などをAIロボットが総合的に判断し、ユーザーにとって「気づき」となるようなアドバイスを送るのもSELFならではの強みです。
たとえば、落ち込んでいるユーザーに対して「もしかして自分と周りを比べてない?」とユーザーの性格や今の状況などを踏まえた問いかけをしたり、イライラしているユーザーには「ちょっと荒ぶってるように見えるから、笑顔を心がけよう」などと客観的視点も加えながらアドバイスを送ることで、ユーザー自身も気づいていないような内面への指摘が可能です(上図参照)。
SELFのロボットは、ただユーザーを肯定するだけでなく、新たな視点を加えることでユーザーの視野を広げ伴走者となります。そうやってユーザーとの時間を過ごし、信頼関係を築いていくのです。
◾️会話によるメリットは様々
このように、SELFに搭載されているコミュニケーションAIは、ユーザーの属性や状態、生活パターンなどに加え、時間軸を考慮した弊社独自の会話アルゴリズムによりユーザーを深くとらえます(上図参照)。その結果、説得力のある会話が可能となり、ユーザーにとっては友人や家族とも異なる特別な存在になり得るのです。
またこれは、一般的なチャットボットやシステムメッセージにはない弊社独自の強みでもあります。この強みを生かし、コミュニケーションAIは癒やし以外にも様々な場面に貢献します。
- サービス継続率(アプリ、サイトなど)
- WEB接客におけるカート追加率・決済完了率
- 送客によるアップセル・クロスセル
これらの他、売上アップやCV改善につなげ、企業様への導入実績も多数ございます。
会話を活用したサービスをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
<参考資料>
大出 順
【会話することの効果 -ナラティブアプローチと患者満足-】
福田 正治
【感情と癒し-脳のストレスとの関連で-】
-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2009年6月号:メディカル・ライフ教育出版
【リラックス入門・1 「癒し」ってどういうこと?】
齋藤 智子(工学院大学大学院情報学専攻)
椎塚 久雄(工学院大学情報学部情報デザイン学科)
【コミュニケーションロボットによる会話効果とその要因について】
内閣府
【特集 今を生きる若者の意識〜国際比較から見えてくるもの〜】
SELFのライターを中心に構成されているチーム。対話型エンジン「コミュニケーションAI」の導入によるメリットをはじめ、各業界における弊社サービスの活用事例などを紹介している。その他、SELFで一緒に働いてくれる仲間を随時募集中。