このトピックのポイント
・決済完了までは、それぞれのステップに意味がある
・CV向上で重要なのは「量と質のバランス」
・「商品詳細到達率」「カート追加率」「決済率」を上げる
・全体を見失わない設計
「コンバージョン数を上げたい」
「コンバージョン率を高めたい」
マーケティング分野やECサイト運営において、よくこんな言葉を耳にします。
コンバージョンとはCVとも表記され、英語で「変換」「転換」といったような意味で使われます。コンバージョン(以下CV)は、使われているサイトや目的によって定義が変わるため、CVをどのように定義するかは重要と言えます。
たとえば、「CVが3倍に上がった」といっても、定義が「資料請求の件数」なのか「問い合わせ数」なのか、はたまた「契約数」なのかで最終的な効果は変わってきます。「目前のCVを追いかけていたら肝心の最終目標からずれていた」というケースもあるため、効果的な計測を行うためには、最終目標からのフローを適切に設計しなければなりません。
ECサイトにおいて、SELF for EC(旧SELF LINK)導入のゴールは「売上の向上」と据えており、最終コンバージョンを決済完了としています。売上に一番近い位置にCVを置くことで「CVの追求=売上」を実現できるように設計しているのですが、決済率向上を達成するためには決済までのステップに注目する必要があります。
ここでは、決済率を上げるためのSELF for ECのコンバージョンの考え方を紹介します。
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目次
■決済フローを分解して、何をすべきかを明確に
●決済までのステップは4段階
まず、一般的なECサイトにおける決済までのステップを単純化し、イメージ図にするとこのような感じになります。

多くの場合、ユーザーは「広告」「検索」「SNS」などを経て、ECサイトのトップページやLPに訪れます。その後、ユーザーは商品選別のために商品詳細を確認し、比較等を行いながらカートへ追加、もしくは決済へと流れます。これが標準的な商品購入の流れとなるので、これらを突破する確率を増やしていけばおのずと決済へ到達します。
決済までのステップ 1.サイトへアクセス 2.商品詳細閲覧 3.カート追加 4.決済
●CVとCVR
CVRとは「コンバージョンレート」の略であり、CVに至った割合を示します。たとえば、ECサイト全体の売上向上を前提とした場合のCVRの設定は、「決済完了数/全アクセスユーザー数」が考えられます。

このCVRを分解する上で、上記の「サイトへアクセス→商品詳細閲覧→カート追加→決済」のフローを分解してみると、このような式で構成することができます。
この式の内容を紐解いてみると、3つのことが言えます。
- 商品詳細到達率を増やすためには、全ユーザーに対し、商品詳細到達数を増やす必要がある。
- カート追加率を増やすためには、商品詳細到達数に対し、カート追加数を増やす必要がある。
- 決済完了率を増やすためには、カート追加数に対し決済完了数を増やす必要がある。
これらは一見単純な話ですが、忘れがちであることも確かです。実際に、アクセスユーザー数に注目するあまり広告予算の比重が多くなりすぎたり、サイト内施策に予算が配分されておらず直帰率が高くなりすぎたりするケースもあります。そうなると、結果的にユーザー数は増えるも決済にはつながらないという状態に陥るのです。
この「商品詳細到達率」「カート追加率」「決済完了率」というフロー分解によって、目的の達成に向けて何をすべきかがわかりやすくなります。では、ここからは要素別にCVを考察していきます。
■コンバージョンの要素別考察
1.商品詳細到達率について

大前提として、商品との接触がなければ商品詳細へたどり着つことはできません。ですので、まずは商品接触の機会をできるかぎり設ける必要があります。商品接触の機会を増やすためには、ユーザーが興味のありそうな商品に一つでも多く目を通してもらうことが大切です。
一般的に、ファーストビューの判断で3秒以内にユーザーが直帰する確率は、
- ランディングページ:70%以上
- コーポレートサイト:40~60%
と言われています。
そのため、ファーストビューでいかにユーザーに興味を持ってもらえる情報を伝えられるかどうかが、商品到達率への大きなポイントとなります。
また、ユーザーとの接触の質も重要です。
SELF for ECでの調査の結果、ユーザーに商品を提示する際、どのユーザーにも同じ商品を提案した場合と、そのユーザー向けにパーソナライズした商品を提案した場合のクリック差が3倍になりました。闇雲に情報を提案するのではなく、ユーザーに最適な情報を提案することがいかにユーザビリティを向上させ、CVにつながるかを証明する結果となったのです。
同時に、ユーザーのサイトアクセスへの時間も限られている中で、量を見込めないのであれば質を上げていかなければなりません。ユーザーのアクセス時間については別途考察しています。
加えて、商品を探す動機についても考慮する必要があります。これは弊社が再定義したAISCEAS(サービスや商品の購入までのプロセス)によるものですが、ユーザーの商品選びには「欲求型」「問題解決型」という二通りがあり、商品接触のパターンを切り分けることでユーザビリティを向上させることができます。AISCEASや商品接触については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
課題解決については、会話による提案により大きな効果が期待できます。上記を踏まえ、以下の要素を加味することで商品詳細ページへの誘導確率を上げることができます。
商品詳細到達率を上げるには… ・ユーザーへの商品接触数を短時間で増やす ・ユーザーへパーソナライズした商品に接触させる ・ユーザーの課題を聞いて対応する商品を提案する
2.カート追加率について

多くのユーザーは、詳細ページでその商品を吟味し、比較検討をします。そのため、ユーザーの判断をより深める対策が効果的と考えられます。ここで、SELF for EC導入の際の利用率・カート追加率を見てみましょう。

これは、某企業にSELF for ECを導入いただいた際の、1ヶ月におけるサイト全体利用数値とSELF for EC利用ユーザーでの比較数値です。
ECサイトでのSELF for ECの利用率(全体ユーザーの何割が利用したか)は、全体の約15%であることがわかります。また、カート追加率については53.62%と、未導入に比べて3.5倍ほど向上しています。これは、SELF for ECがユーザーの属性や行動履歴から最適な商品群をいち早く提案し、ユーザーの比較検討時間を最小限にとどめられている結果と考えられます。
SELF for ECの考えるカート追加での必要要素は、できる限りユーザーに商品検討がしやすい状態へいざなうことです。商品の特徴を理解しやすく、ある程度パーソナライズされた商品の絞り込みを行うことで、商品選択の際のストレスを軽減させるのです。
また、会話によって得られたユーザーの興味関心・課題を活用し、よりニーズに近い商品を見せることで、スピーディーで快適な商品選びを実現させ、カート追加率の向上へ貢献します。
カート追加率を上げるためには…
・前提条件として、商品がパーソナライズされたものである
・比較検討を行いやすくする
・その商品以外の選択肢を用意し、素早く検討しやすくする
・商品特徴を理解しやすくする
3.決済完了率について

決済については、カート追加時点で、購入意識が高まっている場合にはスムーズに行っていただけると思われます。
表1の通り、SELF for EC導入における決済完了確率は、SELF for ECの導入なしのケースに比べ約3.6倍増加したという結果を得ています。理由としては、カート追加の時点でしっかりと商品選びが行われていると考察できます。
また、FAQ会話オプションの活用で、ユーザーが抱きやすい購入前の不安を払拭させることもできます。ただ、決済時の入力フローにおいては、入力の邪魔にならないよう非表示を推奨しています。
決済完了率を上げるには…
・前提条件として、カート追加の質が上がっていると決済率も高い
・特典や特別商品であることを知らせると決済率も上がりやすい
・入力の邪魔はできるだけ避ける
・FAQ機能を活用し、不安点を払拭する
■最終コンバージョンを設定し、売上貢献するSELF for EC

いかがでしたでしょうか?
こういった最終コンバージョンまでの要素分解をしっかりと行い、どの時点で何をするべきなのかを明確に定義し、対策を施しているのが「SELF for EC」です。SELF for ECでは、このような役割分担をトップページでのアクションのみならず、ユーザーのサイト内行動によっても検証し、細かな設定を行っています。
重要なのは、細かな分解に対応しながら、最終コンバージョンを想定した設定を行うことです。闇雲に細かなアクションを行いながらA/Bテストの結果を見るより、最終CVを意識しながら全体としてのバランスを強めていく方が合理的かつ効率的と思われます。
長くなりましたが、弊社ではお客様の最終的なビジネスゴールの実現のために、以下のような会話・提案機能を主軸に、プロダクト開発を行なっています。ECサイトの売上にお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
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