この記事では2022年11月に公開され話題となっているChatGPTが他のチャットボットサービスやコミュニケーションAIに及ぼす影響と今後の可能性について考察し、解説しています。
目次
◆ChatGPTとは?
ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模な言語モデルを用いたAIチャットサービスで、膨大な量の文章を学習することで、まるで人間のような自然な会話をすることができます。
リリース後わずか2か月でユーザー数1億人を突破し、無料で利用できる革新的なサービスとして、機能面だけでなく成長性にも大きな期待が寄せられています。
ChatGPTは2023年3月にAPIがリリースされ、すでに様々なオンラインでのチャットボットやアプリケーションに組み込まれ始めています。その影響は既存のWebサービスの変革にとどまらず、様々な市場や教育、雇用に多大な影響を及ぼす可能性があるとされています。
◇ChatGPTの特徴と強み
•高度な自然言語処理
•コンテキスト(前後の文脈)を考慮した応答
•プログラミングコード、物語、詩など多様な分野のテキスト生成が可能
•英語、日本語など多くの言語に対応
ChatGPTの特徴は何と言ってもその対応力です。
ユーザーの入力した情報を驚くほど的確に処理し、ユーザーの質問や命令に対して自然な返答をします。さらにコンテキスト(前後の文脈)を考慮したテキスト生成を行うので、直前の入力にはない情報まで加味して応答することができます。あらかじめ想定されたテキストにしか対応できない従来のチャットボットと比較すると、会話の自由度という点で圧倒的に優位と言えます。
また、プログラミングコードや詩の作成など、活用できる場面が多岐に渡ることも大きな話題を呼んでいる一因と言えるでしょう。
一方で出力される情報の信頼性には疑問の声があがっています。
誤った情報をあたかも正しい情報のような言い回しでユーザーに提供してしまうこともあるため、ChatGPTが生成したテキスト内容の信頼性はユーザー側が慎重に判断する必要があります。
また、提示される情報はユーザーの入力に対応するものであるため、意図通りの返答を引き出すためには綿密なプロンプト(規則、制約条件など)を考え、ChatGPTに与える必要があります。
◆SELFのコミュニケーションAIとは?
一方でSELF株式会社のコミュニケーションAI(以下、SELF AI)はChatGPTとは異なり、自然言語処理を用いない対話エンジンです。2016年にユーザーと対話しながら日常生活のサポートを行う「SELFアプリ」をリリースし、2023年2月時点で140万ダウンロードを達成しました。
また、ユーザーを個別に理解しながら自然な会話の流れを構築する独自のアルゴリズムを用いた会話エンジンは、販売、教育、健康促進、地域活性化など、様々な分野のオンラインサービスに導入されています。
◇SELF AIの特徴と強み
•能動的なユーザー情報の取得と蓄積
•ユーザー理解に基づいた推測と情報提案
•回答選択式による会話でユーザーへの負荷が小さい
•感情豊かで個性的な会話が可能
SELF AIの最大の特徴は独自のアルゴリズムによる「ユーザー理解」です。
対話によって得られたユーザーの属性を把握し、ユーザーごとに蓄積することが可能です。さらに、蓄積したユーザー情報を用いてユーザーの行動や思考を推測し、能動的に情報提案を行うこともできます。
SELF AIはテキスト生成を行うエンジンではないため、会話にはライブラリを作成する必要がありますが、その分会話を自由にカスタマイズでき、比較的容易に想定通りの挙動を実現できます。また、ユーザーからの情報入力は基本的に回答選択式なので、ユーザーが入力する文章を考える手間がなく、テンポの良いやりとりが可能です。
一方で、自由記述での入力に対しては処理できる範囲が限定的になるという弱点もあります。自然言語処理によるテキスト生成を行わないので、想定外の入力内容には十分に対応できないのです。また、あらかじめ準備した会話ライブラリからテキストを出力するため、会話の流れによってはユーザーの求めるテキストを出力できないということもあります。
◆ChatGPTとSELF AIの根本的な違い
ChatGPTとSELF AIを比較すると、両者の最大の違いはユーザーに対して「受動的」か「能動的」か、という点にあると言えます。
ChatGPTがユーザーの入力内容を受けて自然な応答をすることに特化している一方、SELF AIはユーザーの状態や心理を推測し、情報提案することを目的とした対話エンジンです。
言い換えると、ChatGPTはユーザーがAIから情報を引き出す必要があるのに対し、SELFはAIがユーザーから情報を引き出し情報を提供する、ということです。
ChatGPTは、タスク(質問や命令)の処理能力はきわめて高いものの、指示される前に自ら動くことはなく、また期待通りの成果を得るには綿密な指示が必要です。
一方でSELF AIは処理できるタスクの範囲は限られるものの、自ら積極的に仕事(ユーザーにとって有益な提案)を探し、必要な情報を補完して、成果を出すことができます。
どちらのAIにも長所と短所があり、実力を最大限発揮するためにはそれぞれの特性に合った環境構築が重要と言えるでしょう。
◆システム連携によって生まれる可能性
そして異なる特性を持った両者を組み合わせることで、様々な場面で最大限のパフォーマンスを発揮できる、より優秀な作業者になることもできます。
では具体的に、ChatGPTとSELF AIを組み合わせるとどんなことができるようになるでしょう。
前述の通り、ChatGPTに複雑な命令を下し期待通りの返答を引き出すためには、細かい規則や条件をあらかじめ設定する必要があります。一方でSELF AIの得意分野はユーザー情報の取得と蓄積です。ユーザーのプロフィール情報はもちろん、性格や行動傾向といった定性的な情報も属性として把握することができます。
つまり、SELF AIによって蓄積されたユーザー情報がChat GPTへのプロンプトとして機能することで、ユーザーは自らプロンプトを与えなくても自分に最適化された情報を得ることができるのです。
◇Webサイトでの活用例
たとえば、この仕組みを企業のサービスサイトに導入するとします。
サイトを訪れたユーザーに対し、まずはSELF AIが能動的に質問を投げかけユーザー情報を取得します。同時に、SELF AIの取得した情報をChatGPTに共有することで、よりそのユーザーに最適化されたテキストを生成することができます。SELF AIが情報を統合し整理することによって、ユーザーはAIに複雑な命令を与える手間なく自分に必要な情報を得ることができるのです。
他にも、ユーザーの入力内容があらかじめいくつかに絞り込める場面(クローズド・クエスチョン)ではSELF AIの選択式回答を利用してユーザーの負担を軽減し、ユーザーからより多く細かい情報を得たい場面(オープン・クエスチョン)では自由記述による入力内容をChatGPTで処理する、といった使い分けも考えられます。
◇SELF AIの今後
このように、ChatGPTとSELF AIは連携することでより良質なユーザー体験を生み出せる存在として非常に相性がいいと言えます。すでに弊社(SELF株式会社)ではChatGPTとSELF AIをスムーズに連携するシステムを構築しました。
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このシステムを活用することにより、SELF AIはユーザーの幅広いニーズに応え、より深くユーザーとの信頼関係を構築することができるでしょう。
弊社では今後も独自の対話エンジンであるSELF AIの機能をさらにブラッシュアップしつつ、SELF AIをより進化させうるChatGPTの躍進を歓迎し、その成長性に大きな期待を寄せています。
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