サービスの効果計測における、CV(コンバージョン)をどのように定義するかは非常に重要です。
仮に「CVが3倍上がった」という表現があったとしても、CVの定義によっては最終的な効果が変わってきてしまいます。目前のCVを追いかけていたら、肝心の最終目標からずれていた、ということも耳にします。
効果的な計測を行うためには、最終目標からのフローを適切に設計する必要があります。
SELFLINKのゴールは売上の向上と据えており、最終コンバージョンを決済完了としています。売上に一番近い位置にCVを置くことで「CVの追求=売上」を実現できるように設計しています。
ただし、決済率向上を達成のためにはいくつかのステップに注目する必要があります。
このトピックのポイント
・決済完了を分解すると役割が見えてくる
・量と質のバランスが重要
・商品詳細到達率を上げるために
・カート追加率を上げるために
・決済率を上げるために
・全体を見失わない設計
決済完了までを分解してみる
ECにおける決済までのステップを単純化すると以下の流れとなると思います。
- 広告 自然検索SNS経由 などの入り口から流入
- 商品詳細閲覧
- カート追加
- 決済
広告・検索・SNSやリピート購入でユーザーが流入し、商品選別のために商品詳細を確認します。
その後、商品比較等をおこないながら、カートに追加、そして決済へと流れます。
これが標準的な商品購入の流れの要素になるかと思います。
よって、この要素を各々突破する確率を増やしていけば、決済へおのずと到達する話となります。
CVを決済完了とする場合、確率の話として、CVRは「決済完了数/全アクセスユーザー数」となります。
では、このCVRを分解する上で上記の「アクセス→商品詳細→カート追加→決済」のフローを活用し分解してみると
という式で構成することができます。
ここから、この式の示す内容を紐解いてみると
- 商品詳細到達率を増やすためには、全ユーザーに対し、商品詳細到達数を増やす必要がある。
- カート追加率を増やすためには、商品詳細到達数に対し、カート追加数を増やす必要がある。
- 決済完了率を増やすためには、カート追加数に対し決済完了数を増やす必要がある。
この3つは、言われると単純な話ですが、忘れがちであることも確かです。実際の話として、アクセスユーザー数に注目しすぎて広告予算の比重が多くなりすぎたり、サイト内施策に予算が配分されておらず直帰率が高くなりすぎたり、結果、ユーザー数は増えたが決済にはつながらないということが散見されます。
この商品詳細到達率、カート追加率、決済完了率というフロー分解によって、目的を忘れず、達成に向けて何をすべきかが、わかりやすくなります。
■コンバージョンの要素別考察
ではわかりやすくなったところで、一つずつ考察してみたいと思います。
商品詳細到達率について
まず商品との接触がなければ、そもそも商品詳細へたどり着きません。
なので、まずは商品接触の機会をできるかぎり設ける必要があります。商品接触の機会を増やすためには、ユーザーの興味ある商品に一つでも多く目を通してもらう必要があります。
ファーストビューの判断で3秒以内にユーザーが直帰する確率はランディングページで70%以上、コーポレートサイトで40~60%との説もあります。
そのため、ファーストビューの最初の瞬間に、ユーザーに興味を持ってもらえる情報を伝えられるかどうかも、商品到達率への大きなポイントとなります。
また、ユーザーとの商品接触の量の話と同時に、その接触の質も重要です。
SELFLINKでの調査の結果、ユーザーに商品を提示する場合、どのユーザーにも同じ商品を提案した場合と、そのユーザー向けにパーソナライズした商品を提案した場合のクリック差が3倍にもなりました。
よって、量と質を兼ね備える必要があります。
と同時にユーザーのサイトアクセスへの時間も限られているなかで、量を見込めないのであれば質を上げていく必要もあります。詳しくは以下のリンクをご確認ください。
加えて、商品を探す動機についても考慮する必要があります。
これは弊社が再定義したAISCEASによるものですが、商品選びには2通りの探しかたがあり、欲求型なのか問題解決型なのかで、商品接触を考える必要性もあります。
課題解決については、会話による提案での対策により大きな効果が期待できます。
対応すべきことが多くある中で、上記の事象から簡単にまとめると
- ユーザーへの商品接触数を短時間で増やす(量)
- ユーザーへパーソナライズした商品に接触させる(質)
- ユーザーの課題解決を聞いて対応する商品を提案する
ことにより、商品詳細ページへの誘導確率が上がると考えられます。
カート追加率について
カート追加率についてですが、
前段階の商品詳細到達率における、質(買う気がある)を高められたかという点と、ユーザーにとって必要で正しい商品なのかをページにおいて理解してもらう必要があります。
ユーザーは基本的に詳細ページでその商品を吟味し始め、比較検討の段階になり始めます。
そのため、ユーザーの判断をより深める対策が効果的と考えられます。SELFLINKの利用率からも、商品詳細ページにおける類似商品提案へのクリック率はトップページなどに比べ、非常に高い傾向にあります。
これは、商品詳細ページにおいて、比較検討のヒントを探している状態と推測されます。
また、商品詳細ページでの要件として、商品の特徴が理解しやすいということが必要です。
- 前提条件として、商品がパーソナライズされたものである(質)
- 比較検討を行いやすくする
- その商品以外の選択肢を用意し、素早く検討しやすくする
- 商品特徴を理解しやすくする
SELFLINKの考えるカート追加での必要要素は、できる限りユーザーに商品検討がしやすい状態へいざなうということになります。ある程度パーソナライズされた商品の絞り込みを行いながら、ユーザーにとって確かな選択なのか他の商品も含め比較検討を容易にする。またSELFLINKの会話によって得られたユーザーの興味関心・課題を活用し、ユーザーの選択の幅をしっかりと見せる。これによって、ユーザーにとってはスピーディーで快適な商品選びを実現させ、カート追加率の向上へ貢献すると考えられます。
決済率について
カート追加時点での購入意識の質が上がっている場合には、購入の流れはスムーズと思われます。
SELFLINKでのA/Bテストでは、カート追加から決済までの確率がSELFLINKなしに比べ、高い結果がでているのですが、その理由として、カート追加の時点でしっかりと商品選びが行われていることが影響していると思われます。
SELFLINKの検証データから、特にその商品がそのECストアでしか買えない特別商品であったり、送料がお得、無料などの場合、購入意志が高まる可能性が高く、会話でのコメントなどを表示する場合があります。また、FAQ会話のオプション活用で購入不安の払拭などを活用する場合があります。
決済時の入力フローにおいては、入力の邪魔にならないよう非表示を推奨しています。
- 前提条件として、カート追加の質が上がっていると決済率も高い
- 特典や特別商品であることを知らせると決済率も上がりやすい
- 入力の邪魔はできるだけ避ける
- FAQ機能を活用し、不安点を払拭する
まとめ
こういった最終コンバージョンまでの要素分解をしっかりと行い、どの時点で何をするべきなのかを明確に定義し、対策を施しているのがSELFLINKです。
この役割分担は上記のフローにとどまらず、トップページでのアクションや、ユーザーのサイト内行動によっても検証を行い、細かな設定を行っています。
重要なのは、細かな分解に対応しながら、最終コンバージョンを想定した設定を行うことです。
闇雲に細かなアクションを行いA/Bテストの結果を見るのと、最終CVを意識しながら全体としてのバランスを強めていくやり方では、自ずと結果に跳ね返ってきます。
最終目的と細かな目的の設計、また量と質の問題を各々考慮し結果を導くべきと考えられます。
長くなりましたが、弊社ではお客様の最終的なビジネスゴールの実現のために、以下のような会話・提案機能を主軸に、プロダクト開発を行なっています。ご興味のある方は、ぜひご一読ください。
ECサイトの売上にお悩みの方はぜひお気軽にご相談いただければと思います。
今後ともSELFLINKをよろしくお願い申し上げます。